三重野文晴教授 「現代東アジア経済論 (シリーズ・現代の世界経済)」に対する書評が日本経済新聞(2017年11月25日付)に掲載されました。

著者について
《編著者紹介》※本情報は刊行時のものです

三重野文晴(みえの・ふみはる)
1969年生まれ。
1999年 一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。
現在 京都大学東南アジア地域研究研究所教授。

深川由起子(ふかがわ・ゆきこ)
1958年生まれ。
1998年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程満期退学。
現在 早稲田大学政治経済学術院教授。

目次
はしがき

序 章 新しい「東アジア経済論」を求めて
1 地域研究と経済分析の接点
2 「東アジア」経済の成立
3 成熟に向かう「東アジア」経済
4 本書の構成

第I部 成長と分配

第1章 東アジアの経済成長
1 はじめに――東アジア経済と経済学
2 経済成長モデルとデータ検証の変遷
3 東アジアの経験と成長研究
4 おわりに――経済成長と経済学
コラム ノーベル賞経済学者も間違える?

第2章 工業化政策と経済発展
1 はじめに――工業化政策とは何か
2 グローバリゼーションと工業化政策
3 規模の経済と工業化のメカニズム
4 東・東南アジアの工業化の経験
5 おわりに――国際化の中の工業化政策
コラム 技術移転と技術流出

第3章 経済格差と所得格差
1 はじめに――市場統合の成否を左右する日本のリーダーシップ
2 東アジアの経済格差
3 各国における所得格差の拡大
4 ASEAN新規加盟国
5 おわりに――援助国として台頭する中国
コラム 市場統合の段階

第II部 貿易と金融

第4章 国際的生産ネットワーク
1 はじめに――新たな経済関係へ
2 国際的生産ネットワークの展開と産業集積の形成
3 フラグメンテーション理論と空間経済学
4 新たな開発戦略と経済統合
5 先進国側へのインパクト
6 おわりに――今後の東アジアの挑戦
コラム 機械産業における生産ネットワークの特性

第5章 東アジアにおける産業集積
1 はじめに――雁行形態論と空間経済学
2 東アジアの雁行形態論
3 経済発展と産業の国際的移転
4 雁行型発展の背景
5 国際経済環境の変化と雁行形態型発展
6 おわりに――雁行型経済発展と政策インプリケーション
コラム 産業の特性とローカル・コンテントの変化
コラム 空間経済学を用いた政策的シミュレーション

第6章 国際金融環境と東アジア経済
1 はじめに――本章のねらい
2 構造調整政策と直接投資ブーム
3 アジア金融危機
4 地域金融協力の進展
5 世界金融危機の東アジア経済への影響
6 おわりに――中国経済台頭の影響
コラム アジア通貨基金(AMF)構想

第7章 東アジアの金融システム
1 はじめに――金融システムと経済発展
2 東南アジア金融システムの共通性
3 アジア金融制度の多様性
4 世界金融危機と東南アジア経済の新課題
5 変化するアジア金融システム
コラム ビジネスグループと金融機能

第III部 地域統合と多様性

第8章 経済発展の「北東アジアモデル」――韓国の事例を中心に
1 はじめに――何が経済発展を決めるのか
2 アジアNIEsの経済発展と「北東アジアモデル」
3 韓国の開発経験と「北東アジアモデル」
4 おわりに――「北東アジアモデル」の課題

第9章 東南アジア経済――ASEAN4カ国の成長経路
1 はじめに――東南アジアという地域
2 東南アジア4カ国の成長の軌跡
3 国民国家の形成から輸出工業化までの歩み
4 第二次オイルショック後の調整期と輸出製造業の形成――1980~90年代半ば
5 アジア金融危機と回復過程の構造変化――1997~2000年代
6 おわりに――新しい課題の登場
コラム 新ASEAN加盟国経済の始動――カンボジア、ラオス、ミャンマー

第10章 東アジアの移行経済――ベトナムの発展成果と制度的課題
1 はじめに――経済発展諸段階と制度的変化
2 ベトナムのドイモイの成果と限界
3 低位中所得国の罠の可能性
4 おわりに――ガバナンスと資源配分
コラム ベトナムの新たなドイモイを促進した2つのショック

第11章 東アジアの経済統合――ASEAN経済共同体(AEC)の創設とRCEP
1 はじめに――ASEANと東アジアの経済統合
2 ASEAN域内経済協力の過程
3 AECへ向けての域内経済協力の深化
4 ASEANを中心とする東アジアの地域経済協力
5 世界金融危機後のASEANと東アジア
6 2015年末のAEC創設とASEAN経済統合
7 RCEPと東アジア経済統合
8 おわりに――AECの深化とRCEPの実現へ向けて
コラム ASEANの連結性強化と日本の協力――カンボジアの「つばさ橋」

終 章 東アジア経済を学ぶ
1 成長までの道のりと残る課題
2 新たなダイナミズムの模索と新しい挑戦課題
3 東アジア経済を学ぶために

資 料
索 引